どんな料理か
牡蠣入り麺線(蚵仔麵線)は、極細の小麦麺である麺線(ミースア)を、澱粉でとろみをつけたスープでやわらかく煮て、小粒の牡蠣をのせたものです。たいていの店は紅麺線を使います。紅といっても実際は黄褐色で、長く煮込んでも崩れません。豚の大腸の煮込みを、単独で、あるいは牡蠣と一緒にのせた蚵仔大腸麵線を出す屋台も多くあります。
生い立ち
ルーツは、泉州や廈門の麺線をどろりと煮込んだ粥、麵線糊です。清代に台湾へ伝わり、土地ごとの産物に合わせて姿を変えていきました。麺線は農作業の後によく食べる軽食で、牡蠣入りを生み出したのは沿岸の住民だという説もあります。今も彰化、嘉義、台南が牡蠣のおもな産地です。
紅麺線は、出稼ぎで故郷を離れた福建の人々と結びつけられています。持ち運べて日持ちのする麺が必要だったのです。白い麺線を乾かしながら蒸したり炒ったりすると、カラメル化して茶色になります。手作りの麺線は今も十五ほどの工程を経て、一日以上天日で干します。おもな産地は彰化の鹿港です。
乾隆帝がこの料理を「龍のひげと真珠の粥」と名づけたという話が広く知られていますが、裏づける史料はありません。台湾南部では、今も麵線糊や麵線羹の名で売られることがよくあります。
作り方
スープには澱粉でとろみをつけます。店ではさつまいも澱粉、家庭ではタピオカ澱粉を使います。牡蠣はさつまいも澱粉をまぶしてから湯通しし、その白く濁ったゆで汁をスープのベースに使い回す店もあります。だしは地域によって違い、北部はかつお節(柴魚)だけ、中部は豚骨とかつお節、南部はさらに濃厚な合わせだしです。
食べ方
時間を問わず食べる小吃で、ほとんどは屋台で売られています。たいてい辛くするか聞かれ、黒酢、刻みにんにく、パクチーは好みで加えます。牡蠣と大腸の両方を入れたいなら蚵仔大腸麵線を頼みましょう。牡蠣が苦手なら、牡蠣抜きの麺線も注文できます。
台湾各地では
- 台南
- 台南では沖合のいかだで牡蠣を育てており、収穫の最盛期は3月から6月です。仁德にある七股養蚵園家は牡蠣養殖の一家が営む店で、麺線に新鮮な牡蠣と肉団子をたっぷり入れています。
- 高雄
- 高雄の麺線は太めでコシがあり、味は甘めです。食文化作家の焦桐はここで牡蠣入りを食べて育ち、台北では大腸入りが好まれることに気づきました。
- 北部
- 台北周辺では、スープはたいていかつお節ベースで、具も牡蠣か大腸くらいとシンプルです。
- 中部
- 台湾中部では、かつお節に加えて豚骨でもだしをとり、具も多めです。大腸、牡蠣、肉羹の具、小腸などがのります。鹿港周辺の麺線はより細くやわらかです。
- 南部
- さらに南へ行くと、干したヒラメやかつお節、揚げにんにく、椎茸、干しエビでだしをとり、魚のすり身やイカのすり身をのせることもあります。店では麵線羹と呼ぶことがよくあります。
- 離島
- 金門では泉州と同じように、白い麺線に牡蠣、大腸、豚の血をのせます。牡蠣は天然の石牡蠣で、地元の手延べ麺線はよりコシがあります。






